2014年3月4日火曜日

大きなハート

助産師の仕事は分娩の介助だけではなく
お産後の体と心のケア、外来に来られる妊婦さんの保健相談、
退院後の子育てや赤ちゃんの相談など、多岐にわたっています。

私は分娩当番ではない日には積極的に
お産を介助している助産師と産婦さんの姿を見せていただいています。

つい先日のお産の光景です。

朝、入院してきた初産婦さんと担当助産師、この日が初対面でした。
「ぜひ夕方にはかわいい赤ちゃんに会えますように…一緒に頑張りましょう」と助産師。

一方、産婦さんは
痛いの苦手!いやだー!怖い!などとマイナス発言が…続出。
今まで経験したことのない未知の痛みを、これから数時間乗り越えなければならないのに
今からこんなマイナス発言で大丈夫かなぁ…
私は内心、今日のお産は手こずるのではないかと思いながら外来の仕事につきました。

それから三時間ほどのち、外来の仕事を終えて陣痛室の二人を覗いてみました。

ちょうどお昼時で、陣痛もだいぶ強くなってきていました。
陣痛の間隔も短くなって、子宮口も半分以上開いているとのこと。
産婦さんは陣痛と陣痛の合間にがんばって食事を摂っていました。
その傍らで助産師は寄り添いながら腰をさすっていました。
二分間隔で訪れる陣痛、それに合わせて呼吸を誘導したり腰をマッサージしたり…
そして陣痛がおさまると励ましや雑談、そしてリラックスの誘導…それを繰り返していました。
カーテン越しに聞こえてくる二人の会話は朝の発言とは違いとても穏やかで心和むものでした。
産婦さんは弱音を吐くことなく前向きでした。
これから後半戦、本格的に強くなる陣痛…
このままの調子で乗り切って欲しいなぁと願っていました。

その数時間後、産婦さんの形相もますます辛そうになり
いよいよ分娩の時を迎えていました。
分娩室でのいきみの時にも助産師と息を合わせて、
スムーズに赤ちゃんを迎えることができていました。

お産を終えたあと
赤ちゃんを胸に抱く産婦さんとそのそばに寄り添う助産師。
笑顔が三つくっついて大きなハートを作っているように見えました。

私はそんな姿を垣間見るのがとても好きなのです。
産婦さんをどのように前向きな気持ちに導いていけたのか
担当助産師の関わり方、まさに肌と肌を触れ合わせ寄り添い、
励ましの声をかけ、どれだけ深く関われたか信頼関係が築けたか…なのでしょう。
頼もしい後輩の助産師にいつも教えられることばかりです。
これからもたくさんのハートを楽しみにしています。

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